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ECコマース(ネットショップ)と景品表示法~広告規制
ECコマース事業を展開する上で必ず押さえておかなければならない法律の一つ、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法 ) 前回は景品表示法の規制のうち①「商品やサービスの価格や内容などについて事実とは異なる表示の禁止の部分について紹介しました。」 今回はもう一つの規制の部分②「過大な景品の提供の禁止」について紹介したいと思います。
〇景品の制限及び禁止
景品類の制限及び禁止については、景品表示法第4条に定められています。
景品類の最高額や総額を規制することで、過大な景品に惑わされた消費者が価格に見合わないものを買ってしまい不利益を被るという事態を防ぎ、また、事業者が商品やサービスそのものではなく過大景品の競争に力を入れてしまい、消費者の不利益につながってしまうという事態を防ぐ、という狙いがあります。
ここでいう景品類とは
(a)消費者を誘引するための手段として
(b)事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随する
(c)物品や金銭などの経済上の利益
の3つ満たすもののうち、
(d)内閣総理大臣が指定するもの となります。
景品類の規制は3種類あり、それぞれ限度額などが定められています。
(1)一般懸賞
商品の購入者などに対して、くじなどの偶然性や特定行為の優劣によって提供する景品類です。
例として挙げると
■「抽選のうえ、100名様にプレゼント」といった形で行われる抽選での提供
■当たり付きアイスバーのように、一部の商品にだけ景品が付いているが、外観からはどれがあたりかわからないといった場合
これらの一般懸賞の限度額は以下のようになります。
(2)共同懸賞
一定の地域や業界、一つの商店街などに属する事業者たちが共同で開催する懸賞です。商店街で開催される福引がわかりやすいでしょうか。ECでは適用されないとみていいでしょう。
(3)総付景品
商品の購入者や来店者にもれなく提供する景品類です。
例を挙げると
■「○○円お買い上げの方にもれなく~~」といった形で提供する場合
■「購入者先着100名様にプレゼント」といった形で提供する場合
これら総付景品の最高額は以下のようになっています。
例外として「別の洗剤のサンプルが付いている洗濯用品」といったサンプル品や、開店キャンペーンなどで配る記念品などは商慣習として規制の対象にはなりません。
(4)監視事例:楽天市場ページ上部には景品表示法を含む違反商品に対する申請フォームがある
楽天市場やその他モールでも実施されていますが、法令順守が強化される傾向になります。法令順守は商売をする上での基本ではありますが、細かい規制等まで把握されてない場合が多いのではないでしょうか?楽天などでこれらの景品表示法での違反をした場合、
景表法違反 (景品規制) | 景品表示法にて定める「懸賞・景品等」のルールに反する行為 |
にて、減点対象となります。当然のことながら楽天市場内でも、法令に乗っ取った運用を行う必要があり、これらの事は楽天運営者側だけでなく、ユーザーにも不利益を与えかねない問題に発展しかねません。
また自社サイトでは運営者が、モールのような監視がないままに展開している場合だと、知らず知らずのうちに法令違反を犯している場合もあり、ネット担当者だけでなく運営者責任も問われかねない為、軽視はできず、今一度自社ショップが法令違反していないかチェックするのも良いと思います。
ネットショップの景品表示法における注意しなければならない運用事例
ECでもよく見る割引券やキャッシュバックキャンペーン。これも注意しなければ総付景品の規制という地雷を踏みかねません。二つのケースを見てみましょう。案外しっているようで知らない景品表示法、目玉商品や入口商品などに過度な景品をつけて目を引きたい場合には特に注意が必要です。
A「総額10000円の買い物をした方にはもれなく○○割引券を進呈します」といった割引券を提供するケース
割引券は景品類に該当しますが、例外として自分の事業での取引で使える割引券については景品にはあたらないとされています。
ここでいう割引券とは、「購入金額にかかわらずどの商品を買うときにも一定の金額が割り引かれるもの」とされています。
例えば「1000円割引」であれば、一定の金額が割り引かれるので総付景品とはみなされず、景品表示法の規制の対象になりません。しかし「10%割引」であれば、一定の金額が割り引かれるというわけではないので総付景品とみなされてしまいます。
総付景品の最高額は取引価格の20%のため、今回のケースでの最高額は2000円。「○○%割引」のような割引をする際には、これを超えない様に上限を設定しなければなりません。限度額を設定しないと、例えば次回30000円の買い物をしたときに「10%割引」券を使えば3000円の割引となってしまい、最高額の2000円を超えてしまうからです。
「10%割引(上限2000円設定)」であれば、総付景品とみなされていても最高額が規定内なので規制の対象とはなりません。
勘違いしがちだが、あくまでも「総付懸賞」での該当事例で、その場で
1万円以上30%引きクーポンを発行して7千円引きとなっている場合は、そもそも総付懸賞ではなく、単なる割引クーポンとなるので、景品表示法には該当しない。
B 「総額10000円の買い物をした方には抽選で○○キャッシュバック!」などキャッシュバックキャンペーンをするケース
一般的に行われているような適正な値引きであれば総付景品に当たらないとされています。
ここでいう値引きは、「今なら同じものがもう一つ付いてくる!」といったものも含まれるほか、キャッシュバックもこれに該当します。つまりキャッシュバックは原則景品類とはみなされません。
例外として「抽選で100名様にキャッシュバック」等の懸賞のように、キャッシュバックされるかどうか確実ではない場合や、キャッシュバックされた金額の使い道を制限している場合は、値引きではなく景品とみなされます。
今回は景品表示法のもう一つ、「景品類の制限及び禁止」について紹介しました。
ネットショップ(Eコマース)おける景品表示法まとめ
今回は懸賞から一般的な割引までと非常に射程が広く、EC事業者にとっても繊細な注意を払わなければならない部分でもあります。景品表示法にに違反した場合の懲役を含む重いペナルティを課されることもあります。わざと過大な景品を提示することはもちろんNGですが、意図せぬ形で景品表示法に違反しない様に細かいルールまで押さえておきましょう。
ネットショップにおいて信用が一番です、お客様へのサービスや好意な思いで懸賞やサービスを運用する場合は特に注意が必要で、まさかそのような法律に抵触するとは思わなかったと思わされるのがこの、「景品表示法」です。細かい総則までを覚える必要はありませんが、大まかなやってはいけないルールについては、把握し、理解することがネットショップ運営にとって大事な部分となります。
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