YouTubeを見ているとき、グッズなどの購入リンクが表示されているのに気づいたことはありませんか?日本では2022年夏頃から利用されはじめたと言われており、最近は通常の動画のほかにライブ配信やショート動画での販売も行われています。
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YouTubeショッピングが注目される理由
インターネット利用時間の多くを占める動画視聴
総務省情報通信政策研究所が行った調査によると、インターネットの利用項目別の平均利用時間で最も多くを占めているのが「動画投稿・共有サービスを見る」です。ソーシャルメディア(SNS)やゲーム・メール・ブログやウェブサイト閲覧などを上回っており、特に10〜20代の若い世代は平日・休日ともに1日100分以上を動画視聴に費やしています。
これまで、ネットショップの集客はSEO対策や広告・SNSやブログの運用などによって行われてきましたが、ネットユーザーが多くの時間を費やしている動画サイトからショップへ誘導することができれば非常に強力な集客手段となり得ます。
動画やライブ配信とネット販売の親和性
TVショッピングや店頭での実演販売などが典型的ですが、実際に使用しながら魅力を説明されると、元々それほど関心のなかった商品であっても興味が湧き欲しくなることはよくあります。
これまでネットショップの商品説明は写真(静止画)やテキストが中心でしたが、動画のほうが実際に手に取ったときのサイズ感や商品の質感・使用感などをよりリアルに伝えることができます。さらに、ライブ配信のリアルタイム感は「欲しい」という思いを即時に購入行動に結びつける力があります。
世界的に見ると中国などでライブコマース市場が急拡大しており、動画やライブ配信とネット販売の親和性の高さは疑う余地がありません。
参加条件の緩和
YouTubeのショッピング機能を利用するには「YouTubeパートナープログラム」への参加が必要ですが、当初はこのパートナープログラムの参加条件が厳しく、ショッピング機能に興味があっても条件を満たすことができないユーザーが多くいました。
2023年に参加条件が緩和され、ショッピング機能への参入がしやすくなったことも注目度が高まるひとつの要因となっています。
YouTubeショッピングの機能
動画やライブ配信に商品をタグ付け
動画やライブ配信に商品のタグをつけることができます。視聴中にこのタグをタップすると、商品ページへのリンクを表示させることができます。
概要欄にも動画内でタグ付けされている商品のリストが表示されます。
このほか、動画の終了画面にもカード型の商品情報を表示させることができます。
「ストア」タブに商品を表示
チャンネルのホーム画面にあるいくつかのタブのなかに「ストア」が追加されます。「ストア」タブには、販売中の商品が一覧表示されます。
YouTubeショッピングの利用条件
チャンネルの資格要件
YouTubeショッピングを利用するためには、下記の要件を満たす必要があります。
・YouTubeパートナープログラムに参加している
・チャンネルが YouTube パートナー プログラムのチャンネル登録者数の条件を満たしている、または公式アーティスト チャンネルである。
・チャンネルの対象視聴者が子ども向けに設定されておらず、子ども向けに設定された動画の数が多くない。
・ヘイトスピーチに関するコミュニティ ガイドラインの違反警告を受けていない。
YouTubeパートナープログラムとは、動画広告・チャンネルメンバーシップ・スーパーチャット(ライブ配信の投げ銭)などによって収益を得るためのプログラムです。パートナープログラムに参加するには、YouTubeのチャンネル収益化ポリシーに準拠している等いくつかの前提条件を満たしたうえで、下記の参加条件を満たす必要があります。
・チャンネル登録者数が1,000人以上であること
・直近12ヶ月間の公開動画の総再生時間が4,000時間以上である、もしくは、直近90日間の公開ショート動画の視聴回数が1,000満開以上であること
サポートされているプラットフォーム
現在サポートされているプラットフォームのうち、日本語で利用できるのはShopify・SUZURI・BASEです。このほか、英語になりますが、SpreadshopとSpring(旧称Teespring)も利用可能です。
残念ながら、現状では楽天・Amazon・Yahooショッピング等はYouTubeショッピングに対応していません。これらに出店中でYouTubeショッピングでの販売に取り組む場合、上記のサポートされているプラットフォームのいずれかにショップを開設する必要があります。
YouTubeショッピングを利用するための手順
(1)ストアを開設する
YouTubeショッピングがサポートしているShopify・SUZURI・BASEのいずれかでストアを開設し、販売したい商品のページを作成します。すでにこれらのストアを運営中の場合、YouTubeショッピング用に新たに作成する必要はありません。
(2)ストアをYouTubeにリンクさせる
YouTube Studioにログインし、左側のメニューから「収益化($のようなマーク)」をクリックします。チャンネルが条件を満たしている場合、「ショッピング」タブが表示されています。上記のように収益化の要件を満たしていない場合、まずはチャンネル登録者数などの基準を満たす必要があります。
「ショッピング」タブが表示されている場合、下記の手順でストアをリンクさせます。
・「利用を開始」をクリックしてプラットフォームをリンク
・商品カードで「新しいストアを接続」をクリックし、画面の指示に沿ってストアをYouTubeチャンネルにリンク
なお、ShopifyをYouTubeにリンクさせる場合、双方で管理者権限のある同じメールアドレスが必要になります。リンク設定も、Shopify側でGoogle & YouTubeアプリを追加し、アプリ側から行う形となります。
(3)審査の結果を待つ
ストアをリンクさせると、商品がGoogleのポリシーに準拠しているかの審査が行われます。通常、数営業日かかります。
YouTubeショッピングの注意点
YouTubeショッピングにはアフィリエイトプログラムがあります。販売側としては影響力の強いインフルエンサーに紹介してもらうことで販売を強化することができますし、インフルエンサーとしては商品を紹介し視聴者が購入することで収益を得られる魅力的なプログラムです。
しかし、現時点ではアフィリエイトプログラムは米国、インドネシア、韓国、タイでの提供となっており、日本は未対応です。アフィリエイトによる拡散は期待できないため、あくまで自身の動画・ショート動画やライブ配信を通じて販売する形となります。
YouTubeショッピングとは まとめ
インターネット利用の中心である動画は販売との親和性が高く、参加条件の緩和も相まってYouTubeのショッピング機能に注目が集まっています。Shopifyなど対応するプラットフォームのストアとYouTubeチャンネルをリンクさせることによって、動画に商品をタグ付けしたり、チャンネルのホーム画面に「ストア」タブを表示させることが可能になります。利用にはチャンネル登録者数などの条件を満たす必要がありますが、チャンネルの収益化やストアへの導線確保の新たな手段としてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。