
ネットショップ利用者にとってスピーディーな配送は重要な要素のひとつです。かつては注文から受け取りまでに数日かかるのが普通でしたが、最近は翌日に届くことも珍しくありません。配送重視の流れは楽天市場にも及び、2024年には新たに「配送品質向上制度」の導入が予定されています。
Yahoo!ショッピングの優良配送⇒ ヤフーショッピングで絶対やっておきたい「優良配送」設定とは
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配送サービス重視の潮流

Amazonを利用する際、Primeマークの有無を重視している方は多いのではないでしょうか。Primeマークは通常配送のほかにお急ぎ便や当日お急ぎ便を選択可能であることを意味し、特にプライム会員にとっては無料で早く届けてもらえるためマークのない商品と比べて大きなアドバンテージとなります。

ヤフーショッピングでも「優良配送」マークがあり、お届けが早い商品を選びやすくなっています。当サイトでも過去記事「ヤフーショッピングで絶対やっておきたい「優良配送」設定とは」で詳しくご紹介しています。
店舗にとっては、Primeマークや優良配送マークは検索上位に表示されやすくなるという点が非常に大きなポイントです。逆に言えば、スピーディーな配送に対応できない商品は出品していてもお客様の目に触れるチャンスが大幅に減少してしまうということでもあります。
楽天でも、この流れに沿った新制度「配送品質向上制度」が2024年から導入されます。詳しい内容は店舗運営Naviで公開されていますが、特に重要な部分について解説します。
2024年からスタートする楽天の「配送品質向上制度」
配送品質向上制度は2024年第2四半期のリリースが予定されています。スムーズな配送に関する一定の基準を満たす商品に「配送認定ラベル」が付与され、お客様により快適なお買い物を楽しんでいただけるUI/UXにつながるとされています。配送認定ラベルの有無が検索順位決定要素のひとつとなることが予定されており、店舗にとってこの新制度への対応は非常に重要なものとなります。
「配送認定ラベル」付与の基準
配送認定ラベルの付与基準は、店舗基準と商品基準の2つに大別されます。店舗基準を満たす店舗のうち、商品基準を満たす商品にラベルが付与されます。店舗基準をすべて満たしていない場合は商品単位で基準を満たしていてもラベルは付与されません。まずは店舗基準を満たすことが大前提となり、そのうえで商品基準を満たしていくことが求められます。
店舗基準
・納期遵守率96%以上
・6日以内お届け件数比率80%以上
・出荷件数100件/月以上
・共通の送料込みラインの導入
商品基準
・午前の注文は365日いつでも「翌日お届け」指定可
・午後の注文は365日いつでも「翌々日お届け」指定可
2023年1月に公開された基準内容は上記の通りですが、その後一部については更新されています。例えば、年末年始(12/31-1/3)及び月1回は休業でも可、等です。
多くの店舗にとって特に対応が難しいのが、商品基準の「365日いつでも」という点です。2023年7月に一部緩和した基準内容に更新されましたが、そのうえでもなかなか厳しい内容となっています。
楽天スーパーロジスティクスとは

商品基準に対応するための方法のひとつが「楽天スーパーロジスティクス」の利用です。楽天市場の店舗向け物流アウトソーシングサービスで、商品を楽天ロジの倉庫で保管し、店舗からの出荷指示を受けて梱包・発送します。
AmazonのFBA(フルフィルメント)によく似たサービスで、2022年11月時点で楽天出店者の1割弱が利用しています。契約店舗数は右肩上がりで増加しているものの、Amazon出店者の半数がFBAを利用しているのと比べるとまだまだこれからといった印象です。
今回の配送品質向上制度は楽天スーパーロジスティクスの利用推進の意図も含まれていると考えられます。自社出荷等の体制で商品基準を満たしていくのは現実的にかなり厳しく、配送認定ラベルを取得するのであれば楽天ロジの利用を検討せざるを得ないケースが多いのではないでしょうか。
サービスの利用には一定のコストがかかりますが、出荷作業等の業務負担の軽減につながります。普段からスーパーSALEやお買い物マラソン等の大型イベント時に急増する出荷作業に悩んでいる方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。もちろん、年末年始やGW・お盆などを含めた365日出荷が可能であることから配送認定ラベルの商品基準を満たすうえでも大きなメリットがあります。
配送品質向上制度に先立って必要な対応
配送品質向上制度のリリース予定は2024年6月となっていますが、それに先立って必須となるのがSKUへの移行と最短お届け可能日表示設定です。
SKUへの移行
配送品質向上制度のラベル認定はSKU単位で行われます。そのため、配送認定ラベル取得の前提としてSKUへの移行対応は必須となります。
SKUへの移行はタグIDに代わる必須商品属性の入力が必要であり、多くの商品点数を抱える店舗にとってはそれなりの作業負担となりますが、配送品質向上制度への対応という点でもできるだけ早いうちに作業を進めたいところです。SKUプロジェクトについて詳しくは「楽天SKUプロジェクトとは 基本編 2023年度版」をご参照ください。
最短お届け可能日表示機能
すでに2023年6月から主要配送キャリアを対象に最短お届け可能日の表示が始まっています。
これまでは「1-3営業日以内に発送」のような表示となっており、お客様にとって具体的にいつ商品が届くのか直感的に分かりにくくなっていました。また、配送先のエリアに関わらず一律の表示となっており、1日で届くエリアであっても3日で届くエリアであっても同じ「3日」という表示となってしまっていました。

RMSの店舗設定 – 6 基本情報設定 – 1 配送・送料設定 – 最短お届け可能日設定 から詳しい設定を行うことができます。商品単位で出荷リードタイムや出荷元住所を設定することにより、より正確なお届け可能日表示ができるようになります。
最短お届け可能日の表示設定も、配送品質向上制度の条件を満たすために必須です。
楽天市場の「配送品質向上制度」と「配送認定ラベル」とは
ネットショッピングにおいて配送の重要性が年々高まっています。商品そのものの魅力に加えて、より早く届くということもお客様にとって選択する理由のひとつとなります。Amazonのprimeマークやヤフーショッピングの優良配送マークに続いて、楽天でも配送品質向上制度によって配送認定ラベルが導入されます。365日いつでも翌日・翌々日お届け指定に対応する必要があり、そのために楽天スーパーロジスティクスの導入を検討する店舗が増えることが予想されます。また、事前準備としてSKUへの移行と最短お届け可能日の表示設定が必要です。ぜひ計画的に進めていきましょう。
商品登録ドットコム 後記 おまけ&ぼやき
とは言っても、発送自体を外注するということは、自社から商品が手から離れるという事になるので懸念を持つ店舗は多いです。ある程度売上いっているお店では、売れ筋や死に筋をうまくコントロールしないと倉庫費用倒れになりかねません、倉庫に預ける場合はそれなりの数量を預けたり出荷しないと、そもそも外注・倉庫委託する事すら合わない・・・という話なります。また、売れ筋だけをうまく事倉庫出荷に移行し成功している店舗ありますので、全部を倉庫委託するのではなく効率的で且つコスト増にならない方法に着地する必要があります。荷物を預けるリスク、預けないリスク両方とも検討し、現状の経営方針とも即して配送環境を整えていく必要があるかと思います。また、売上規模や出荷個数、そして利益率も考慮して行かないと、諸々の費用が利益を圧迫する環境を作るのは言語道断です。この機会に配送に関して見直したり再検討する良機会でもあります。
勿論、楽天市場の商品登録代行や商品登録外注 に関してご要望があればお気軽にお声がけください。
