ネットショップを運営する上で商品の画像は必要不可欠です。しかし、商品画像を使用する際にも法律のルールを守らなければなりません。この記事では、ネットショップで商品画像を使用する際に気を付けるべき法律のポイントをご紹介します。尚、このページは「著作権 まとめ」までの間は全文に渡り弁護士によるライティングとなります。
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著作権とは?
インターネットやSNSを利用すれば様々な写真を閲覧・入手できる便利な世の中です。しかし、これらの写真は著作権という権利で守られています。
著作権は、著作権法という法律に規定されている権利で、著作者人格権と著作財産権の2つで構成されます。
簡単にいえば、著作権=その物(著作物)を独占的に利用できる権利です。著作権で守られている写真等を許可を得ることなく利用(ex複製、改変、転載)してしまうと、著作権法に違反し、民事・刑事の両者の責任を追及されかねません。
ネットショップにおいてよく見られる著作権法違反のケース
ここでは、実際にネットショップにおいて著作権法違反を犯してしまっている例をご紹介します。
他のサイトやSNS上の商品画像の無断転載
自社のネットショップと同様の商品を販売している他のネットショップやメーカーのサイトやSNSの写真を無断で転載しているケースです。
メーカー等の企業のホームページに掲載されている写真も、無断での使用が許可されているわけではありませんから注意しましょう。
事実上、著作権者が黙認しているケースもなくはないのですが、著作権法に違反していることに変わりありませんから、いつ責任を追及されるか分かりません。
また、最近では自社のブランディングのために商品画像の利用を厳格に制限する企業も増えてきていますし、SNSで第三者から無断転載を指摘され炎上するケースも散見されます。
楽天やAmazonも、商品画像の無断転載を厳しく取り締まっています。ECサイト上にネットショップを展開している方は要注意です。
無断転載を行っている場合、常にリスクを抱えた状態にあることを忘れてはなりません。
人物やキャラクターが写っている写真の無断転載
商品画像と同じように、人物やキャラクターの写真の無断転載も、著作権法に違反してしまいます。
芸能人やモデルとった職業でない一般の方が写っている写真であっても「著作物」ですから、無断で使用してはなりません。
他から入手した写真の加工
無断転載のみならず、加工して使用することも著作権法に違反してしまいます。
他人の写真を加工は「改変」(著作権法20条1項)に当たります。
トリミングや色調調整をしたからといって、加工した者が著作権者になるわけではありません。
“著作権フリー”には要注意
著作権フリーを謳い画像を提供するサイトが存在しますが、“著作権フリー”や“フリー素材”の画像は要注意です。
前提として、ここでの“フリー”は、自由に利用できるという意味ではなく、利用料金が無料であることを意味していることが多いです。
また、著作権を放棄していることが明記されていたとしても、“商業利用はNG”というように利用目的が制限されていることもあります。
最悪なのは、“著作権フリー”や“フリー素材”とされている画像が実は無断転載の画像だった、というケースです。フリー素材だと勘違いして利用すると、いくら無断転載と知らなかったとはいえ、著作権法に違反してしまいます。
現に、同様のケースでフリー素材だと勘違いして利用した者の責任が認められた裁判例があります(東京地裁H27.4.15)。
こうならないためには、提供者と撮影者が同一人物の画像を使用する、有料の画像を利用するといった予防策が有効です。もっとも、これらの対応をとったからといって必ずしも違法とならないとは言い切れません。インターネット上の素材を利用したい場合は慎重に調査・検討するようにしましょう。
著作権法に違反したらどうなる?
著作者から写真の利用の差止や損害賠償の請求をされてしまいます。これは民事上の責任です。
また、著作権法には刑罰が規定されていますから、警察に通報された場合は逮捕され、裁判で有罪になってしまうおそれもあります。著作権法に違反した場合の罰則は、重いもので10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの両方です(著作権法第119条)。著作権法に違反した場合の罰則は非常に重いものとなっています。
このように、著作権法に違反してしまった場合には民事・刑事の両面において非常に大きな不利益を被ることとなります。こうなってしまえば、ネットショップの運営どころではなくなってしまうでしょう。
著作権法に違反しないための3つの方法
次に、著作権法に違反せずに商品画像をネットショップで使用するための主な方法3つをご紹介します。
著作者との間で著作物利用許諾契約を結ぶ
著作者との間で著作物を利用してもよいという契約を締結する方法です。簡単にいえば、著作権者から「了解」を得る、ということです。
後々のトラブルを防止するため、了解を得た証拠として契約書を作成する必要がありますし、契約書においては著作物の範囲を明確にする、著作者人格権を行使しないことを確認するなど、法律知識に基づいた適切な条項の記載が求められます。
また、商品だけでなく人物(exモデル、芸能人)が写っている写真を使用したい場合は、その人物が所属している芸能事務所と契約を結ぶ必要があるケースもあります。
もっとも、著作者だと思っていた人が実は著作者ではなかった、という可能性もあります。特に、インターネットやSNSでは、出所を明示せず無断転載されている写真が多く存在します。無断転載している人物から利用許可を得ても、何の意味もありません。
契約を締結する前に、本当の著作者が誰なのか、きちんと調査・特定しなければなりません。
このように、著作物利用許諾契約を締結するためには法律知識や労力が必要です。
自分で写真を撮影する
自分で撮影した商品画像を使用するという方法です。
自分で撮影した写真なら著作権法違反のリスクを抑えられます。もっとも、被写体や撮影場所には注意が必要です。
商品画像登録代行業者に依頼する
ネットショップへ掲載する商品画像の撮影のプロに任せるという方法です。
プロの業者であれば、当然に著作権法に対し配慮が為されているでしょうし、何より、購買意欲を掻き立てるような、いわゆる“映える写真”を撮影してくれます。
費用は発生しますが、著作権法違反のリスクを抑えるだけでなく、自身のネットショップの売上アップも狙えます。
著作権法 まとめ
今回は、ネットショップで使用する商品画像おける著作権法違反のリスクとその回避方法についてご紹介しました。
ネットショップを運営する上で商品画像はなくてはならないものであり、売上向上のための大きな武器でもあります。
著作権法に違反しないよう、プロの業者に依頼したり専門家に相談したりして適切に商品画像を利用しましょう。
※このページの文章は、全文に渡り弁護士によるライティングとなります。
但し、このページの文章は一般的な法律情報の提供となります。情報の正確性や内容全文を保証するものではありません。
サイト運営者 著作権にまつわるお話 おまけ
ここからは弁護士記述ではなく、商品登録ドットコムの記述となります。
商品登録代行でも、カタログやサイトからの取得で相談される部分は多いのは事実です。メーカーサイトやメーカーカタログ(印刷された紙のカタログを含む)・電子カタログからの商品登録については基本的にはメーカーからの許可が必要となります。また、問屋サイト・卸サイトなどでメーカーからの許可を得ずに掲載されている場合もあるので、後々揉めない為にも画像の出所元などを確認しておくと安全です。特に多数の商品を出品する店舗さんの場合に1つ別の問題で発覚して(商品紹介画像の中にモデルの画像が含まれていたなどの別問題から)、殆がその問題に関わる所からの仕入れだったなどで、画像が全部使えない・・なんて事もありえます。また、もし著作物を勝手に利用している事で当該店舗又は会社から画像盗用の指摘を受ける場合は速やかに下ろし・差し替える必要性があります。まれにこれらをたいした事ではない、めんどうだからスルー、メールそのものを見逃していた場合だと、訴状の内容証明が届いてから社内で発覚するなども実際にあった話です。実際、指摘を受けたら下げる事も重要ですが、狭い業界内(ネットショップ業界)なので、なるべくあつれきを生む事のないように対応していきたいものです。
著作権法違反の場合だと民事、刑事両方ともありあえますので、最悪逮捕という事もありえることを認識する必要があります。弊社でも実際にあった話として、別サイトやモール内の画像が、殆同じだから使ってもいいだろうと安易に使うと、実は個々の店舗さんは許可を取って掲載していた、又は配布元がしっかり契約を結んで運用していたなどもあるため、安易に同様の商品を競合他社が使っているからといって利用する事も安全とはいえません。
また、これらの問題は担当者レベルで抑えられるクレームではない、商売そのものや会社への損害や法的問題に関わります。そればかりか、ECモール(マーケットプレイス)で問題となる場合であれば退店やペナルティもありえますので経営そのものに影響しうる問題です。勿論、企業スタンスやモラルも問われる部分なので慎重になりすぎる事はないと思います。